男は黙って屁で語る

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倒壊しつつあるビルの中で逃げ惑う人々。再び大きな振動がビルを襲う。建物のあちこちが振動の衝撃に耐え切れず崩れてゆく。一人の女性がその振動で転倒してしまった。ヒールで走っていたためにバランスがとれなかったのだ。転倒したまま動けないでいる女性のそばの壁が倒れようとしている。動けない女性。もうだめか。彼女はとっさに目をつぶってしまった。

 「逃げなければ」 目を開けたその目にうつったのは倒れそうな壁を支えている人のうしろ姿だった。この時この人が裸であることは気にならなかった。この人がいなければ彼女は壁の下敷きになっていただろう。あっけにとられた彼女。その人の尻から出てきたのは煙だろうか。煙らしきものはなにやら形を作りだしていた。「にげろ」の三文字。彼女は我に帰り、すぐさま立ち上がって壁から距離をとる。「私は大丈夫です。逃げてください」 その言葉と同時に壁はゆっくりと倒れ、埃が舞い、その場はよく見えなくなってしまった。女性は埃が立ち込めたその先に人影が地面と平行に飛んでいくのが見えたという。女性はビルの外に避難することができ、一命を取り留めた。

 その後の調査でビルの倒壊による犠牲者はゼロだった。逃げた人々からは裸の人に助けられたという話が多く聞かれたという。


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