屁ナイパー

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殺し屋は音も立てずに背後に忍び寄る。標的ははもちろん気づいていない。そして一人であるということは確認できている。丸腰の相手を背後からしとめるのは簡単なことだ。簡単すぎて気が引ける思いだが、これも仕事だ。さっさと片付けて日が昇る前に雇い主と落ち合う約束だった。雇い主は長い年月をかけて、こいつの足取りを追っていたらしい。それがこんなにあっけなく終わることに、殺し屋は無常を感じていた。サイレンサー付の銃を取り出し、標的に銃口を向けようとした。その時、殺し屋の手から銃がはじき飛んだ。護衛が忍んでいたのか。いや、そんなはずはない。しかし、なぜ。殺し屋は理解できないでいた。

 標的は屁圧だった。屁圧の背後をとるのは非常に危険であるということは誰でも知っている。その殺し屋が不運だったのは、標的が屁圧を持っていることを知らされていなかったことだ。

 その殺し屋の最後の仕事は失敗に終わった。



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屁圧人の背後のみならず、一流の殺し屋の背後も危険です。

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